1.軸受の回転音
  運転中の軸受の回転音は聴音機などを用い、音の大きさと音質を調べます。
軸受のわずかなフレーキングなどの損傷なども、異常音や不規則音を発し聴音機で聞きわけることができます。
 
 2.軸受の振動
  軸受の異常は、運転中の機械の振動測定によって知ることができます。特別な振動測定器(周波数分析器など)を用いれば振動の大きさ、周波数分布により異常内容を推定することができます。
測定した数値は、軸受の使用条件やピックアップの取り付け位置などにより異なってくるので、機械ごとの測定値を活用して判定基準を決めておくことが必要です。
また、運転中の軸受の振動の様子から異常を予知することは操業上たいへん重要です。そのための装置としてはベアリングモニターがあります。
 
 3.軸受の温度
  軸受温度は、一般にハウジングの外面の温度から推測できますが、油穴などを利用して直接軸受外輪の温度を測ることができれば、より適切です。
通常、軸受温度は、運転開始のあと徐々に上昇し、1〜2時間で定常状態になります。軸受の定常温度は機械の熱容量・放熱量・回転数および荷重によって異なります。
潤滑、取り付けなどに不具合があると、軸受温度は急激に上昇し、異常な高温になることがあります。このようなときには、運転を停止し対策を採る必要があります。
 
運転状態 推定原因 対   策
騒音 高い金属音
 異常荷重
 取付不良
 潤滑剤の不足、不適
 回転部品の接触
 はめあいの修正、軸受すきまの検討、予圧の調整、ハウジング肩の位置の修正など
 軸・ハウジングの加工精度、取付精度の改善、取付方法の改善
 潤滑剤の補給、適正な潤滑剤の選択
 ラビリンスなどの接触部品の修正
規則音
 異物により軌道面に生じた
 圧こん、さび、きず
 ブルネル圧こん
 軌道面のフレーキング
 軸受交換、関係部品の洗浄、密封装置の改善、きれいな潤滑剤の使用
 
 軸受交換、取扱いに注意
 軸受交換
不規則音
 すきま過大
 異物の侵入
 玉のきず、フレーキング
 はめあい及び軸受すきまの検討、予圧量の修正
 軸受交換の検討、関係部品の洗浄、密封装置の改善、きれいな潤滑剤の使用
 軸受交換
異常な温度上昇
 潤滑剤の過多
 潤滑剤の不足、不適
 異常荷重
 取付不良
 はめあい面のクリープ
 密封装置の摩擦過大
 潤滑剤を減らし適量化、硬めのグリース選択
 潤滑剤の補給、適正な潤滑剤の選択
 はめあいの修正、軸受すきまの検討、予圧の調整、ハウジング肩の位置の修正など
 軸・ハウジングの加工精度、取付精度の改善、取付方法の改善
 軸受交換、はめあいの検討、軸・ハウジングの修正、密封形式の変更
 
振動大
(軸の振れ回り)
 ブルネル圧こん
 フレーキング
 取付不良
 異物の侵入
 軸受交換、取扱いに注意
 軸受交換
 軸・ハウジングの加工精度、取付精度の改善、取付方法の改善
 軸受交換、各部品洗浄、密封装置の改善など
潤滑剤の漏れ大
変色大
 潤滑剤の過多、異物の侵入、
 摩耗粉の発生・侵入など
 潤滑剤の量の適正化、潤滑剤の取り替えと選定の検討、軸受交換の検討、
 ハウジングなどの洗浄